20091118_1163109


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917: 読経 01/08/28 19:50 ID:fGkGUmmc
その夏、僕は友人の帰省先の自宅に泊めて貰う事になりました。
離れの一階にある部屋で、僕等は酒を飲みながらあれこれ話こんでいました。
夜もすっかり更けたので、僕等は休むことにしました。


友人がいいました。

「二階にうちのバアチャン居るだろ?
ジイチャンと死に別れてから、ちょっとな・・・。
突然夜中に大声で御経読んだりするんだよ」
僕は深く聞くことを避け、いつのまにか眠りにつきました。

918: 読経 01/08/28 19:51 ID:fGkGUmmc
どのくらい経ったか、真夜中、
「ドンッ!」という
大きな音で目を覚ましました。どうやら天井が鳴ったようです。

ついで、低くて抑揚のない呻き声のような読経の声が聞こえてきました。

微かに『ぬぅえ〜、ぬぅえ〜』
と聞こえてくるのです。
「どうしようもない。あれが終わるまで起きていよう」
そう決心した矢先、僕はあることに気付きギョッとしました。

919: 読経 01/08/28 19:51 ID:fGkGUmmc
先程から聞こえてくるお婆さんの読経の声は、
ある言葉を紡いでいたのです。

それは
『ぬぅえ〜、ぬぅえ〜』ではなく、

明らかに
『死〜ねぇ〜、死〜ねぇ〜』

と言っていたのです。

920: 読経 01/08/28 19:52 ID:fGkGUmmc
「なんだ、この声は?」
僕は慌てて上半身を起こしました。
縁側に老人の顔が見えたのです。

「あれ?」
そうです。どうやら、お婆さんはまだ二階に居るのです。
いや、二階にいるのがお婆さんだとしたら、

目の前にいるのは誰なんだ?

921: 読経 01/08/28 19:52 ID:fGkGUmmc
僕の身体は精神ごと完全に固まってしまいました。
縁側に居たはずの老人がこちらに近づいてくるのです。

それも頭の部分だけが・・・。


僕は恐怖と混乱で、隣で寝ている友人を叩き起こすことすら出来ません。

少しでも目を離したらいけない、離せばさらに近づいてくるかもしれない。

そんな気がしていると、視界の端に友人が体を起こすのが見えました。

922: 読経 01/08/28 19:52 ID:fGkGUmmc
「じいちゃん!!」


「え?」




僕は友人に目をやりました。

923: 読経 01/08/28 19:53 ID:fGkGUmmc
ズザザザザッ!

その瞬間を待っていたかのように、
老人の頭が畳の上を物凄い勢いで僕に近づいてきました。

そして、そのまま大きく口を開けて僕の左足の踵に

ガブリッ とかじりついたのです。
「ぎゃあっ!」

あまりの驚きに声をあげると、老人の頭はスーッと消えてしまいました。

924: 読経 01/08/28 19:53 ID:fGkGUmmc
しばらくの放心の後、僕は友人に言いました。

「お前のお婆さん、今みたいに、お爺さんを
毎晩見てるんじゃないのか?」

「おじいさん」に噛まれたあの感触をいまだに忘れる事が出来ません。

生暖かく、ぬるりととしたあの嫌な感触。

そう、あの「おじいさん」の口は、すべて歯が抜け落ちていたのです。

(終わり)

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